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05.17  
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おめでとう、と素直に祝ったら、彼女は少し苦笑しながらそれに応えた。
シンオウ地方チャンピオンという厳つい肩書きを手にしたのは、まだ声変わり途中の年端もいかない少女。
そのミスマッチさが面白くて、気付けば口角を上げていた。
チャンピオンとしてこの先リーグ付きのトレーナーになるのかと聞いたら、首を横に振った。
聞けばリーグの規定の年齢に達していないので、その職につくことはできないらしい。
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Pt 旅の少女

あの人から手紙をもらった。
彼は機械好きで、改造好きで、自作のパソコンだって持っているのに、私に寄越した手紙はメールではなく手書きのものだった。
それが妙におかしく思えた私はくす、と部屋の中で一人笑う。
前に機械音痴だと言ったから、わざわざ考慮してくれたのかもしれない。
私のために。
そう考えると嬉しくて、舞い上がった私は彼の手書きの宛名ーー私の名前にスライトキスを落とした。

*****
電光じゃなくてもいいはなしかも
フルーツバスケット 夾と透


 学校の帰り道のことだった。今日はバイトもありませんから、と言って俺の隣を歩いていた透が、ちらちらと上のほうに注意を向けていることに気付いた。ただでさえそそっかしくて転びやすいこいつのことだ、足元見ずに歩いたらどうなるかなど分かりきっている。おい、と声をかけようとしたその時に透は足を止めた。
 何も言わずにただ、立ち止まって。空に向かって手を伸ばした。



 ――いや、正確には舞い落ちてくる薄桃色のひとひらの、桜に向けて。


 不意に、透はきゅっと手を握った。背筋を伸ばし、すっと片手を上げたその様子はあいつ自身の強さを表すようで。芯の通った、というのはこういうものを言うのかと思った。
 透は手を下ろすと、まるで壊れ物を扱うの様にして握り締めた手をそっと開いた。どうやら透の手は空を切っただけのようで、開いた手のひらにはなにも残っていなかった。しかし、彼女は落胆するでもなくただ一言呟いた。

「あ、やっぱり私、だめですね」
「何が、だめだったんだよ」
「夾君ご存知ありませんか? 桜の花びらを地面に付く前に捕まえると、ラッキーになれるんですって。ですがどうにもとろい私には捕まえられず…」
 俺はここまで聞いて、ようやく合点がいった。ずっと上の方を気にしていたのは、落ちてくる桜の花びらを捕まえようとしていたからか。まじないだとかそういったものは決して信じてはいなかった。けれど、今だけはそのささやかなラッキーを信じてやってもいいかと思えて。


 舞い落ちる桜の花びらを、こいつと眺められるのはこれが最後である可能性が高いと思って。


 手をひらひらと、逃げるように回る花びらに向けて伸ばす。

 何度か手を握って、確認してを繰り返したけれど、小さきそれはなかなか手のひらに落ちてこない。思わず顔を顰めると、透が心配そうに俺の表情を窺ってきた。
 不安げな色を瞳に浮かべる透は今まで何度も見てきたものではあった。しかし、いくら見慣れていようともできることならそんな顔は見たくなかった。――そんな顔をさせたくなかった。とりあえずお前が気に病むことなんてない、と安心させようと思って頭に手を乗せた。
 その、瞬間。

 不規則に揺れながら落ちてきた花びら一枚が、丁度焦げ茶色の透の髪の上に止まった。

「あ」
 その爪ほどしかない薄桃色を摘むと、透に向けて差し出した。途端、ぱぁっと表情が明るくなる。やっぱりこいつは、こうしてニコニコ幸せそうにしてるほうが似合うし、ずっと好きだ。
「地面に落ちる前、ならいいんだよなぁ?」
「はい! わぁ…っ、夾君すごいです!!」
「別にすごかねーだろ」
 大切にします、と言って透は用心深く花びらを両手で包んだ。その花と同じような色に頬を染め、笑う。


 この、笑顔が。


 この、桜が。



 今更のように愛おしく思えた。

「ラッキー、なれっといいな」
 俺は、ちゃんと笑えているだろうか。

 よほどのラッキーが訪れない限り、来年の桜を眺めることは叶わない。

 ならばせめて、最初から存在しなかったの様に幽閉された時、こうして二人で笑ったことを思い出せるように。


 笑った。笑ってみせた。


 今、この僅かな瞬間にひとひらの幸福を望んで。
Pt 渚の停電男と旅の少女

「……君ならリーグの四天王とも心躍る戦いを繰り広げられるさ!」
 ナギサジムのリーダーである電司は、つい先ほど自分を打ち負かしてくれた小柄な少女にそう告げると形のいい唇の端をあげてニッと笑った。負けたはずの彼は悔しがるでもなく、打ちひしがれるでもなく、ただ楽しそうにそう言った。その清清しさからは、バトルをする前の気だるさはまるで窺えなかった。まるで、別人のようだ。そう思って光も笑った。
「私も楽しかったです。地面タイプの子が手持ちにいなかったし……あぁでも、」
「ん?」
 
「歯車のトラップが、この上なく面倒でした。あんな改造したせいで街の電気落としちゃったなんて信じられません」

上機嫌であった電司の眉間にほんの少し皺が寄った。

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検索避けが面倒なので、漢字にしてみたらpkmンじゃないみたい
この二人が唐突にブーム。ツボにきてる
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