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04.30  
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TOS リフィル

その事実を真っ先に受け入れなくてはいけないのは、私であるはずだった。
何故なら、私が全員を監督するいわゆる保護者業を担っていたからだ。
いつでも私は落ち着いて、周りを見通して判断を下してきた。

でも、今の私はどうやら現状をまるで理解しようとしていないようで。

それを受けいれることを身体が、心が、拒んでしょうがない。
確かに目は開いているはずなのに、何も見えない、そんな錯覚すらしてきた。
――いや、自分でも気付かずにそうしているのだろう。

脚に力が入らず座り込んでしまった私の視線は、本来彼のもとに注がれているはずだ。

けれど、私の目にはうまくそれが入ってこない。
なんて都合のいい身体をしているのだろう、と人事のように思う。
もうそこにはいない彼をこの目で見たくない、その思考にあわせて目の焦点を勝手にずらしてくれるなんて。都合が良い。

それが見えるなんて、信じたくない。

笑って私を口説いていた彼と、違いすぎる彼の姿が見えるなんて。


*****
お題使い回し第三弾
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TOA シンク

「哂い声が耳に障る」
以前ボクはそう言われたことがある。それはまだ誕生してから半年にもならない頃に聞いたことで、その言葉の意味をボクは理解できずにいた。
声が耳にさわる、何を言ってるのだろうと疑問に感じていた昔の自分を思い出すと、気持ちが悪くなるのを通り越して哂いたくなってしまう。
嫌悪の言葉一つ分からなかった、レプリカの脳。
恐らくその脳を知りつつそんなことを言い放った、ヴァン。
そしてヴァンに言われるがまま動き、付いている自分。

全部全部哂ってやりたい。
耳障りだといわれたこの、複製の声を大きく響かせて。

*****
これもお題で使いはぐった話
TOS ユアンとマーテル

「ユアン」
 前方を歩いていたユアンがマーテルの声に振り返る。
「どうした?」
 マーテルは何も言わず、ただユアンを見つめる。
「……あのね」
 すっと手を伸ばし、右側にだけ長く垂らされたユアンの髪に触れる。
「空の色と同じ色で、きれいだなぁって」
 触れた髪を少し握り、にこにこと微笑む。
「それだけ、か?」
 一瞬
「うん」
「……では、マーテルの髪の色は深い……森のような、温かみのある緑色だな」
「ありがとう」

「……置いていくぞ」
「っていうより、焼いていい?ボクの姉さまに手出すなんて生意気」
TOA アニス

ダアトに送るまでの間、私は成り行き上ずっと"彼"の手を握っていた。
最初はただ冷たいその手がだんだん温もっていくのを感じるのは、少し辛かった。
その理由は簡単。私は、彼と同じようにして手を引いたイオン様を間接的にとはいえ殺した。それを思い出させるからだ。
ザレッホ火山の中で引いたイオン様の手も、やっぱり冷たかった。
けれどモースのところへ向かう間ずっと握り続ると、それは徐々に温まっていった。
でも、私はそこで中途半端に温もらせた手を離し、モースにイオン様を渡してしまったのだ。
私がどれだけのことをしたのかと、責められているようにさえ思える。
もう一度同じように――イオン様と同じ形の、同じ温度の手のひらを握らせることで、思い出させているのだと。
 
本当は、私は彼と手を握りたくなかった。
温もらせた彼の手を、もう一度離さなくてはいけないと分かっていたから。
ザレッホ火山の中でイオン様にやったように、もう一度繋いだ手を離して彼をダアトに置いてきた。


その彼と繋いだ手は、誰よりも一番冷たいもののように思えて、仕方がなかった。

*****
FEのほうでやってるお題の、没ver。
FEで統一することにしたんでお蔵入りしていたものの一つ
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