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04.30  
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「行きたいんでしょう?」
 マルスは笑って羊皮紙を差し出した。マケドニアのミネルバ王女宛ての文書だった。カインは目を大きく見開いてから、それを隠すように頬を掻いた。そんなことで君主の目は誤魔化されてやらない。行きたい、という言葉に動揺したことくらいお見通しだ。彼がそのことを肯定するかしないかはさておいて。
「……マケドニアへはどんなに速く私の馬が駆けようとも、往復で三日を要します。しかし、明後日には新兵の卒業演習を監督するようアラン殿から申しつけられています」
 そのことはマルスも承知していた。半期ごとに募集されるアリティア軍の新兵が、最後の訓練として課せられる演習。先の戦いで民衆の希望となったマルスの人望は厚く、今期はそのマルスの為に、と例年をはるかに超える数の志願者が集まっていた。長年宮廷騎士団長を務めていたジェイガンが退いた後、カインは後任のアランを支えながら、教官として後進の育成に励んでいた。その集大成に当たる卒業演習は、彼にとって外すことのできない任務であった。
 しかし、臣下の仕事一つ把握していないマルスではない。概ね想定していた通りのカインの返答にしたり顔をして、有無を言わせずその手に文書を握らせた。
「それに関しては、もう手を打ってあるよ」
「は…?」
「ドーガと、あと一人。強力な助っ人を代わりに僕から頼んである。渋られたんだけど、奥さんの後押しもあって承諾してくれたよ」
 奥さん、という言葉をやや強調して伝えた。彼に話すのはそれだけでよかった。
「まさか、アベルが?」
「うん。……早く会ってこいって、皆笑ってたよ」
 特にエストに計画を話した時は、大喜びしていた。アリティアへ越してきて新婚生活を満喫しながらも、いつも彼女の頭の片隅にはマケドニアにいる姉たちの姿があったという。手紙のやり取りは頻繁にあったが、アベルと始めたばかりの店の切り盛りは忙しく、実際に様子を見に行くことはできずにいた。だから、カインが「彼女」に会いたそうにしているから、マケドニアに行かせる計画を手伝ってくれないか、というマルスの頼みに、エストは飛び跳ねて喜んでいた。
 お膳立てはした。だからあとは、彼の意志一つだ。
「……ありがとうございます」
 そして彼は、そこでなおためらうような男ではなかった。
「ミネルバ王女に、マリア王女に、パオラに……カチュアによろしくね」
 彼は文書を押し頂き、マルスの御前から退った。


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たぶん前後なにか考えてたんだけどもう思い出せない
高校の頃書いたカイカチュさんリサイクル

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スズカゼに関するあれこれメモ

スズカゼは誰にでも優しい、=誰に対して
もあまり執着がないということかなあと思っている。
それが主君を持てず悩んでいたということでもあると思う。
リョウマであれミコトであれ、仕えるに足りない人間だと思ったことはなかっただろう。
定員とか別にないだろうし笑

過ちを繰り返すことが怖かったのかなあ。
そんな感じはあまりしないんだけどな。

カムイとの支援はかなり特殊。
「放っておいてください!」とか言える人なんだなあって。
イケメンが崩れそうになるスズカゼさんが好きだなあ。
カムイにだけは他の人と同じように礼儀正しい対応だけでは済まない、そんなスズカム。

ジョーカーとのやりとりはどんなだろう。
あまり好戦的なスズカゼさんて想像できないんだよなあ。
基本的にジョーカーから絡んできそう。
スズカゼは素直な人だからジョーカーの能力はまっすぐ評価した上で神経逆撫でそう。
命を賭して守るのは私の役目、その後もあの方を支え続けるのがあなたの役目、みたいな………
それがカムイとの支援A時で、S後は「やっぱり、私もあの方と生きたくなりました」になるといいなあ。
欲を見つけてくれ。
そして二人の戦争は終わらない( ˘ω˘ )


アクアとの支援とかでは意地悪系スズカゼさん見え隠れしてる。
思ったこと素直に言って人を抉るのはミドリコに受け継がれてる。

試験的にスズカゼとフローラの会話想像とかしたい。フローラにはカムイ以外のいい男を誰かあてがいたくて仕方ない。スズカゼさんがイケメン力発揮するには格好の相手だと思ってないこともない。
書きたい(書けるとは言ってない)のまとめみたいな
よくある(?)エア同人誌っぽいかんじで、タイトルと内容だけ列挙。


『楽しい本棚の作り方』
レオン・エリーゼ贔屓の暗夜兄弟なかよし
北の城塞にみんなが本をお土産に来ていた話
ジャンルも大きさもばらばらの本が並ぶ本棚
ちょっとジョーカーもはさみたい
ジョーカーは絵本読み聞かせ要員(萌え)

『ifの無意味』
どのルートでも仲間になるジョーカースズカゼサイラスの話
「過去の"もしも"に意味を感じていない3人」
ジョーカーとサイラス、スズカゼとサイラスは支援があるのにジョスズはないというね。

『融点』
ジョーカーとフローラ
暗夜orインキンで合流後従者業をしながら話す二人(+フェリシア)
なんていうか何を書きたいのか分からないけど、書きながら考えたいそんな二人(…)
白夜でフローラのこととめてくれるジョーカーさんに可能性を感じる。
「いくらおまえでもカムイ様を裏切るなら容赦しない」とか言いそうなのに、
「戻ってこい!」ていっちゃうジョーカーさんに夢を見ても許されたい。
今作支援がなかったの本当に本当に許さない組み合わせです。
クロムとティアモどころじゃなく許さん。そのぶん与えられた余地ではあると思う
とはいうものの全編自分で見てからじゃないとかけなそうな感じはある……

『〇月×日天気:晴れ』
ミドリコの交換日記発言の元になる、ほのぼの少女漫画スズカムさん。
「知らないことばかりで寂しいじゃないですか」とかその程度の理由で……
手紙と違って自分の言葉を読み返せるのがいいとこですね。

「おやすみカチュア。よい夢を」

 その一言で全てを悟らされた。ああ、これ「が」よい夢だ。自覚と共に彼の後姿は薄れ、ベッドで一人目覚める。傍らには誰もいない。分かっていたのに泣きそうで、私は寝返りを打って枕に顔をうずめた。

 戦に出ている間、寝る前には意識して死んだ仲間のことを考えないようにしていた。彼らが苦しんでいても笑っていても、その姿を夢に見るとどこかで「もういない」ことに気づき、目を覚ましてしまう性質だった。休むべき時に休まないのでは、自分が命を落としかねない。だからカチュアはいつも、ミネルバのことを考えて横になるようにしていた。誇りである主君。その竜にまたがり空を翔る姿。そうしたものを強く描いて眠ることが、自分を守る手段だった。

 けれど終戦後も、どうしても彼のことだけは考えながら眠ることはできなかった。
 笑顔を思う。声を思う。手を思う。髪を思う。馬を走らす姿を思う。
 --匂いを思う。
 湯気と共に立ち込める、苦いコーヒーの匂いを思う。
 何を思い浮かべても、どうしても私は彼が安らかに眠ってくれるように祈るということができなかった。幸せだったカインとの思い出、あの人のすべてが今でも大好きで大切で忘れられない。彼はもういないのだと分かっていても、胸に募る思いは静かな祈りではなく激しい情愛だった。彼のことを考えているといつの間にか泣いてしまって、全く就寝どころではなくなってしまう。
 



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絶賛書きかけです。
こんな状態のもの晒すのも如何なものか。
でもたまにはここも使おうかとおもって…

先日ざっきちょうに書いた「おやすみなさい」の話を90度ぐらい捻じ曲げてできたネタ()
A dream break の続き(?) みたいな??
ちょっと設定を共有してます

絶対に言わないことを言うカインに「夢だ」と気づくカチュアが書きたかっただけなんですけど、もうどうしていいのか分かりません。
カチュアの弱い脆いところを考えるととても萌える。
弱く脆くなってしまうカチュアを許容してくれたのがカインだと思ってます。
だからカイン死亡ルートのカチュアはきっと辛いですね
「兵士として割り切ってきた」→「割り切れない」は王道ですが萌え。

別に誕生日話ではないアズセレ習作。
アズールお誕生日おめでとう!

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「セレナ! 今日も可愛いね」
 顔を合わせるなり、アズールは駆け寄ってきてその両手をセレナの頬に伸ばした。周囲の目を気にして、セレナはその手を即座に払いのける。そのやりとりは、もはやイーリス軍では日常的な光景だった。
 アズールは、いつも聞かされるこちらが恥ずかしいくらいに言葉を尽くす。彼から貰った腕輪を左手に嵌めるようになってからもそれが変わることは全くなかっ た。むしろ増えたくらいかもしれない。彼は相変わらず、セレナと顔を合わせるたび、可愛いと口にしては顔を綻ばす。彼を恋人と認めるようになって、はじめてその言葉が本当に口説くためだけ の甘いものではなかったことを知った。尤も「挨拶のようなもの」といつか本人が口にしていたように、真剣さには欠けていたが。セレナはいつもアズールのそ んな笑顔に「しまりがない」「バカっぽい」と文句をつけていた。それは必ずしも、本心ではなかったけれど。
 本当のことを伝えたい。本当のあたしを分かってほしい。欲求ばかりは素直に胸に抱いているのに、上手くいかない。何が自分をそうさせているのかは分からない が、気付いた時にはいつも心と正反対に動いてしまった後なのだ。
「ああもう……顔なんてそんなに簡単に変わんないわよ」
 アズールは毎日飽きもせずにセレナの顔を褒めるのだ。好きな人に容姿を褒められて悪い気はしない。喜ぶ心はどこかにある。けれどそう繰り返されるのも何か違う気がしていた。少なくとも、1日かそこらで劇的に顔が変わる訳がない。いつも顔を褒めるというのは、他に褒めるところがないからではないか。そんな風に勘繰る心もセレナの中には存在していた。
「そんなことないよ! セレナが言ってるのは造形でしょ? もちろん造形も世界一だけど……僕が言ってるのは表情も、だよ」
 そう言って、アズールはしまりのなかった顔をさらにくしゃくしゃにして笑った。笑うだけでも差を付けられる彼は本当に器用だと思う。踊りをやるものとしての自覚と訓練の賜物なのかもしれないが、彼の表情はその時その時の心情を鏡のようにはっきり映し出している。それは自分にはない、彼の美点だ。アズールはいつも素直だ。言葉も、表情も。自分と違ってひねくれたところがない。顔は怒ってしまうし、言葉はきつくなってしまう自分とは違って。その彼に、表情を褒められた。
「ねえ、セレナは気付いてないのかな。最近よく笑ってるんだよ。その笑顔が可愛いんだ。たとえば……僕の手を払いのける一瞬前、とか」
 一瞬前。それはつまり、彼に名前を呼ばれた瞬間ということだ。アズール曰くその瞬間には――笑顔になっているらしい。
 だとすれば、それは思っていることが顔に出てしまっているということだ。アズールが自分を見つけ、顔を綻ばせる瞬間の本心。彼が本当の自分を見つけ出してくれたのか、それともまさかアズールに感化されてひねくれ者ながら素直な表情を出せるようになったのか。どちらなのかは分からないが、とにかくセレナに彼へ本心が伝わってしまっていたことに混乱した。伝えたい気持ちが胸にあるばかりで、彼には決して伝わっていないものだと思っていたのだ。不器用な天邪鬼な性格のせいで。
「だ……だってそれは、あんたがあたしを見つけて嬉しそうに笑うのが……う、嬉しくって……」
 しまりがない、バカっぽい、だけどその笑顔がセレナにとって本当は嬉しかったのだ。
 それを上手く伝えられない自分を、ずっと辛く感じていた。
 けれどそのもどかしい悩みは――杞憂だったのだ。アズールは、セレナが心から喜んでいる一瞬の顔を見つけ出していたのだ。
「え、ええ! セレナが笑ってたのって、そんな理由……!!」
「そうよ! なんか文句ある!?」
「とんでもない。でも、恥ずかし……いや、やっぱりすごく嬉しいよ。だってそれって……僕がセレナを笑顔にしてあげられてるってことでしょ? これに勝る幸せなんてないよ」
 顔を耳まで赤くしてアズールが笑う。幸せを絵に描いたような表情だ。まだ自分はこんな風には笑えないな、と思いながら彼の笑顔を愛おしく眺める。けれど、まだ笑えなくてもいいのかもしれない。どんな些細な自分の表情も、アズールなら見出してくれそうな予感があった。
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