忍者ブログ
04.30  
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

07.09  SBP2
現状書くのが困難な状況にあります……。
ので打ち切りというか、保留のままに。
来年の白石誕までに書けた分は随時UPします。
PR
04.14  SBP2

#ダブプリ白石×梓真を含みます それと去年のとがちょっと関連。

 放課後、部室に向かおうと鞄を持った瞬間にポケットの中の携帯が震えた。止まないバイブ音にそれが新着メールではなく着信の知らせであることを悟る。教室の中は放課になったばかりで人が多かった。白石は肩にかけるところだった鞄を机上に置き、ズボンのポケットの中の携帯を掴みながら廊下に出た。
 開いた液晶が示す名前に思わず口元が弛む。ざっと十時間戻せばいいから、海の向こうは今頃朝の五時過ぎだ。この計算ももはや習慣になっているから、反射だけで出来る。早起きはいいことだと思いながら、通話ボタンを押した。

 もしもし、と言おうとした瞬間、向こうで息を吸い込む音が聞こえて笑ってしまった。ああ、表情が眼に浮かぶよう。
「白石さん17歳おめでとうございます!」
 勢いのある声が聞こえてきて、胸が満たされるような心地がする。こみ上げてくるというよりは、くすぶっていたものが弾けて一面に広がっていく感覚。自然に言葉が口をついて出た。
「エクスタシー、やんな。おおきに、嬉しいわ」
「私もです! 去年のこの日からずっと決めてたんです。今年は私から電話かけて、白石さんをびっくりさせるんだって!」
「はは、でも俺はなんとなくキミから電話くる気ィ、しとったよ」
 彼女の負けず嫌いを、ダブルスパートナーとして隣に立ったあの二ヶ月間で見てきている。白石が彼女の体力や能力を考慮して、少し余裕のある練習を組むといつも「まだやれます!」と食らいついてきた。試合で1ゲームとられようものなら、動揺もしたけれどそれ以上に悔しがってさらに相手の技を見抜こうと目を光らせていた。
 そんな彼女に、わざわざ東京まで出て行って電話をかけた日から今日で丁度一年になる。白石は去年の誕生日、自分へのプレゼントのつもりで日帰りながら東京に赴いた。この特別な日に、彼女とテニスがしたかったから。彼女と出会ったあのコートで、試合をしていたときのように会話を交わしたいと思ったから。
 だから、彼女が2月の自身の誕生日に全く同じようにして電話をしてきたときには感動した。誕生日にあげたものと、同じものをわたしにもください、という彼女の口上を、白石は今でも思い出せる。
 そして負けん気の強い彼女は、今年も同じものを送るというのでは気がすまなかったのだろう。そんな風に動く彼女の思考はなんとなく想像がついていたので、白石は「話がしたい」と電話をせずとも、今年は彼女のほうから連絡があるだろうと予感していた。だからこそ今年は、青春台のコートには脚を運んでいない。これが今年の賭けだ。彼女が知らない、白石蔵ノ介高校二年生の環境に、彼女がなぐりこんで電話をしてくるか。今年も賭けは勝ちだ。
「そうなんですか? なんかちょっと照れます。でも私だって白石さんのことはお見通しですよ」
「へえ?」
「今、私の誕生日にも、同じように電話しようと思ってますよね?」
 疑問調なのに、どこか確信のある口ぶり。白石と彼女が同じ空間を共有したのは結局のところ2ヶ月あまりだ。決して長くはない。それなのに顔の見えない電話越しでも考えが伝わってしまうのは、なぜだろう。彼女には到底、かないそうになかった。
「さすがは俺のパートナーやんなあ」
「ふふっ、もちろんです。……ねえ白石さん」
「なんや?」
「結局私がアメリカに来てから白石さんとペア組めてませんけど、けどそれでも、私まだ直接会ってもいない17歳の白石さんとだって、息ぴったりのダブルスできるって、思ってるんです。だから今はまだ帰国できないですけど、……待っててほしいんです」
 最後の一言に、不覚にもドキリとした。それまでのハキハキとした言葉と打って変わったような、しおらしい声だったせいもある。転校が決まったと半泣きの顔で白状したあの日のような声。まだ向こうは夜明け前だろうから、話しているうちにへんに感傷が生まれてきたのかもしれない。泣いてはいないだろうかと、それだけが急に不安になる。いつもにこにことしているだけに、彼女の異変は辛いものがある。
「……大丈夫か?」
「え、なにがですか?」
「いや、……ええわ。何でもあらへん。待ってるに決まってるやろ? 俺も信じとるわ、15歳のキミやって、16歳のキミやって俺の唯一無二のパートナーやって。せやから安心し」
「ありがとうございます。……はあ、17歳の白石さんを応援しようと思ってたのに、へんなこと言っちゃってごめんなさい」
「気にしなや。……さみしいときはさみしいで、エエんやで」
「……ちょっとさみしいです。16歳の白石さんとは結局、テニスできなかったし。ちょっとずつ私が会ってた白石さんから成長して遠くなっていくみたいな感じがする」
「……おおきに。今年もなかなかなプレゼントやったで」
「え? プレゼント?」
「さみしい、て言うてくれたら、キミに大丈夫やって言ったれるやろ? それでキミが安心してくれると俺も嬉しいんやけど」
 彼女と一度仲たがいをしかけた時、自らの包容力のなさを白石は呪った。転校が決まり不安定だった彼女を、心配はできてもやさしくしてあげることができなかった自分。後に彼女の事情を聞いて、白石は下唇を噛むような思いをした。自分の子供さが歯がゆかった。悩みや苦しみを、抱え込ませてしまった自分が。そんな自分が当時から2年近くたった今、彼女のさみしさを包んであげられる存在になっているとしたら。それほど嬉しいものもない。
「なんだか、不思議です。本当に、落ち着いてきちゃった。白石さん、お陰様でほっとしました」
「ああ、そら何よりやわ。大丈夫、俺は待っとるから」
「ありがとうございます、それじゃあ、また連絡しますね!」
 ぷつりと切れた通話音を確認して、白石は携帯を閉じる。さみしいと言った彼女の声が脳裏でもう一度響いて、白石は一人苦笑した。

(……本当にさみしかったのは、俺のほう)

 そして本当の彼女からのプレゼントは、電話をかける回数を増やす口実かもしれないな、と白石は思った。

04.14  SBP2
「肩書きと本質って、どっちが先行するモンやと思う」
 それは入部して漸く部活に馴染んできた頃、多分地区予選が終わるか終わらないかくらいの時期だと思う。ああそうだ地区予選を勝ち抜いた翌日、朝練がはじまる前だった。外で初めての公式戦をして、それまでは後輩の指導ばっかであまり練習してる姿を見なかった先輩たちの試合を見て。レギュラーではない先輩たちが応援の途中叫んでいたことから、部長が「聖書」と呼ばれている、なんてことを初めて知った次の日。何の気なしに話題にしてみたら、そんな応え方をされた。はぁ、と気の抜けた返事をするのも気が引けて、ちょっと間をおいてから答えた、気がする。
「本質でしょ。謙也さんの……なんやっけ、スピードスター? とか。肩書きって、特徴っちゅーか、部長の言い方するなら本質につけた名前とちゃいますか」
 本人が好んでよく口にしている冗談みたいな肩書きが伊達ではなかったというのも、前日に知ったことだった。俊足に因んでスピードスター。何も質問するような事じゃないんじゃないか、と思っても口には出さなかった。
「せやな。ケンヤは足が速いからスピードスター。本質ありきで正解や。けどなあ」
「けど?」
「俺はなあ財前、正確には別物なんや。俺の『聖書』は行きすぎてんねん」
「……はあ」
「言うなれば、血液型と一緒? みたいな?」
「全く話についていけへんのですけど」
「何ちゅーか……「こうである」て定義を先にされてて、それに沿うようにしてんの、俺は。ほら、血液型だの星座だので言われる性格て、ほんまは「おひつじ座の人間はこれこれいう性格です」て言われて、そういう風に振舞うから、そうなってくもんやと思う」
「……ああ、なんとなくはわかりました」
 分かりはするが、自分の中にない感覚だな、と思った。マイペースな自覚がある。そういうものに、さほど流されない性質の自分。マイペースだからかに座というわけでも、かに座だからマイペースというわけでもない。白石は、そうでないのかもしれないが。
「つまりな、俺の「聖書」も同じことやねん。教科書通り、なんて言われるほどのもんやないんや、まだまだな。肩書きにまだ名前負けしとるから、それに見合うようなテニスをしようとしとる。せやのにそんな囃し立てられとるから、そういう風に整えてって……このザマやで」
「ザマとか言いますか」
 口調と言葉がつりあってなくて笑った。まんざらでもないくせに。、そういうことをさらりと言ってしまうこの人が、財前は嫌いじゃない。
「別に嫌、でもないけど。聖書なんて呼ばれてようがなかろうが、どっちみち俺は今みたいな練習しかできひんかったやろうし。基礎練重視なのはもともとの俺の性分やから」
 そう語るのを聞いて、ああ結局なんだかんだ言いながら、この人だって本質が先なんじゃないかと気付いた。テニスの核を、必須項目を全て備えたテニス。それがつまりこの人の人となりで、まだ相応でないと彼は言ったが、彼についた名目は何も間違っていないのだ。白石はマニュアルをいかに完璧にこなすか、その完成度を100%に近づけていく人間だ。彼についた聖書という名目。彼を聖書と人が呼ぶのは、その姿勢こそが、テニスにおいて最も重要とされるものの全てだからではないだろうか。迷ったときには彼に戻ればいい。彼のその、聖書に近づこうとしていく努力の様に戻ればいい。そういう意味で、彼の本質は聖書といえないこともない気がする。やはり本質と名目なら、先にあるのは本質だ。彼の場合だって。
「……ま、俺はそんな訳で聖書やけど、財前は『天才』な」
「……はぁ?」
 あまりに突飛な発言に絶句しているうちに、白石はさらさらと続けた。
「四天宝寺の天才財前光。ああええ感じやん?」
「それは練習サボったりしとることへのあてつけっすか?」
「どう思うん?」
「……これこそ名目先行でしょ」
「俺はそんなにそうは思わんけど。秋からの新人戦はこれで応援したるからな」
「どんだけ気ィ早いんすか、まだ半年ありますけど」
「準備は前倒しでやっとく派やから」
「……勝手にしてください。付き合いきれん」
「おう、勝手にするわ。天才財前」


-----
十五歳おめでとう! 当日なっちゃってますが13日のカウントにしたい。できたら。
欠番分どうするかとかはあとでまとめて書きます。明日(今日)のあずまかいてから!

全く誕生日話ではないですが、これは「財前の中に聖書としての白石が生まれた日」の話です。
そういうベクトルの白石誕があってもいいじゃない!(自棄)
同時に、「天才が天才になった日」です。
みんなに天才天才言われてそう振舞ううちにそうなる財前が萌えると思ってます
白石は聖書聖書いわれるのはテニスのスタイルではなくテニスに対する姿勢というのも私の願望

くらひか! もえ! この話はカプじゃなくなってしまったけどね!
04.08  SBP2

#SQ話 白石に赤也を託した柳の補足妄想・微妙に昨日の赤也と連動


「ちょ、無理やろ…」
「……そうか」
「悪魔化をとめるー言うたかて、金ちゃんと違うんやからこの毒手で言うこときくようんなるワケやないし、そもそも発動する条件やって俺には分からんのに」
「端的に言えばあれは、『キレて』いるんだ。要は、あいつを『キレさせる』ようなことさえ起こらなければ、悪魔化自体はしないと思われる」
「せやかて、ポイントとれんくてイライラするだけでああなるんやったら、その沸点て恐ろしく低くないか?」
「だからコントロールを、外側から強制的にかける必要がある。……先ほど話したとおり、俺をはじめ我々立海はあれを野放しに、むしろ意識的に悪魔化させるような傾向があった。しかし、それではいけない」
「生命を脅かすものやって、ことあるごとに悪魔化する癖が彼についてもた後に分かった、ちゅーことか」
「恥ずかしい話だが、そういうことだ。」
「……つまり、本気で制御したことのある人間は一人もおらへんのか」
「ある程度までなら俺も抑えてはいたんだが。赤目を通り越して悪魔化したのを止めたことは、ない」
「ん? 赤目?」
「まずイライラすると目が充血する。これが赤目で、ここまでは俺も制御が出来た。そしてその赤目がさらに続くと今度は皮膚まで赤くなり悪魔化する」
「……皮膚が外から見て分かるほど一気に赤くなるって、見るからに身体に悪いやん。しかもそんなになった自分も制御できんでどんどん暴走するて。なんで最初に止めなかったのか、悪いけど気を疑うで」
「返す言葉がない。……しかし、どうか救ってやってくれないか。あれを制御できるかもしれない人材は、他にいないと俺は見ている」
「……しゃあないなあ。絶対に守る、とは言われへんけどもできる限りはするわ」
「そうか。……ありがとう」
「頼られたら断れへんわ。ただ、切原クンとは話したこともあらへんし、完璧にコントロールするんは難しいと思うけど。幸か不幸か金ちゃんはあの鬼っちゅー高校生とやった後、斉藤コーチの保護下にあるらしいから手は空いとる」
「この恩は、忘れない。……何か返せることがあればいいのだが」
「エエよ別に。ほんまに生命に関るんやったら、恩とかそういうん抜きにしてでも止めなあかんやろ。そしてそれに一番適当やった人物が俺やっただけや」
「……恩に着るよ」
「しかし、なんて言うてストップかけるべきかな。いきなり余所者が悪魔化やめー、なんて言うたところで聞かへんやろ、切原クン」
「ふむ。じゃあ俺からの伝言ということにしてはくれないか」
「ええけど、死ぬかもしれないからやめろー、とか言うんはキツくないか?」
「そうだな……『悪魔化してもこの柳蓮司に勝てないような奴には我々立海3強に挑戦する資格はない。だから悪魔化するまでもないくらいに強くなったとしたら、そのときには挑戦を受けてやる』とでもいってくれ」
「え……むしろそれを告げた瞬間悪魔化しそうなんやけど」
「この程度なら赤目で済むだろう。赤目はチョップ一つでも直せるから案じるな。あと、弦一郎と精市にも、悪魔化禁止令をそのように言って白石を介して赤也に出したことを伝えておく」
「了解。人の関ることやから、「どうにかする」とは言えへんけど、最善は尽くすわ。つまり、赤也クンをあんま興奮させなええんやな?」
「ああ。赤也を、頼む」
「確かに頼まれたで。このために棄権までした柳クンの思い、無駄にはせえへんわ!」

04.08  SBP2
「ところで切原クン」
「なんスか?」
「キミんところの柳クンからな、キミへの伝言を預かってきとるんやけど」
「ええ? 柳先輩から?」
「そう微妙そうな顔せんとき。あんな形でココを出てった先輩から伝言なんて、素直には聞きたくないかもしれへんけどな」
「……いや、ウチの先輩らは先輩らの中で全部話を完結させて、俺には全っ然教えもしないし聞かせようともしないことが殆どだから、びっくりして身構えただけっす」
「そか。……嬉しい?」
「そーでもねえっすよ、なんかロクなことじゃねえ気もするし」
「おお、そういう勘は働くんやなあ」
「げえっ!? お、俺ちょっと用事を思い出したんですけど白石さん」
「それ、返しとしては60点やな。可もなく不可もなく、ベタすぎて嘘としては難易度低いなあ」
「どーでもいいっすよ!」
「そう言わんと、聞きやって。柳クンが君のこと考えて残していったっちゅーのには変わりないんやから」
「でもわざわざアンタを間に挟んでるのも、考えてみりゃ意味わかんねえし」
「んー、これは俺の意見やけど、それは切原クンの頭がちゃんと冷えとるときに話す必要があったからやと思うよ。あの試合の直後やとまたカッと血ィ上らせかねへんから、柳クンが去った後に、俺から伝えるっちゅー形をとったんやと思う」
「……ちっ」
「ハイ舌打ちせえへんの。ちゅー訳やからまずは何も考えんと聞きなさい。いいな?」
「分かった、分かりましたよ、聞けばいいんでしょ?」
「よく言えました。えーと、何やっけ、あの皮膚赤くなるやつ。悪魔化? するのを禁止やて。せえへんでもエエくらい強うなって帰って来い、立海3強への挑戦はそれができるようになってから再度受けてくれるて。これはさっき切原クンも言うてたけど、立海の三年たちで話して決めたんやって」
「やっぱりロクなことじゃねえ」
「けど、悪魔化しても柳クンとはわたりあえへんかったやん」
「……わーかってますよ。……うるせえな」
「ほらもう目ェ赤い。もうこれからそうなる度にこの毒手唸らせるからな」
「はぁ!? ていうか、なんでアンタに指図されんだよ?」
「柳クンと約束してん。柳クンの代わりに、キミが悪魔化しないようにするってな」
「……アンタも損な役回りだねェ」
「損得で引き受けた約束やないから心配無用や」
「それでも俺みたいなのをホイホイ引き受けちゃうアンタの気は知れねーっすけど」
「んー? 簡単やで、柳クンが俺を頼ったから」
「柳先輩が……」
「期待されるから応えたなるだけ。俺を信頼してくれるんやから、それに見合う行動をとろうと思うだけ、や。せやから切原クンもちゃんと柳クンたちの期待に応える努力をせなあかんで」
「先輩等の期待? 冗談でしょ」
「アホやなあ、わざわざキミのためにこんな事細かに伝言残してく先輩なんて、キミに期待しとるとしか考えられへんやん。悪魔化せんでもええくらい強なって、自分を倒しに来るのを、柳クンらは待ってると思う」
「なんでそんな、部外者なのに知ったような口利くんすか」
「ああ、すまん。それは俺の話し方のせいやな。もちろん憶測やで、けどなあ……同じ『三年生』で後輩を持つ身分やからな、なんとなく考えてることの察して、つくで」
「そんなもんすか」
「そんなもんや。ちゅー訳やから、この合宿、一緒にがんばろな。んで、全部終わって帰るときには素で先輩等倒せるようになりや。ええな?」
「もともと立海3強を打ち負かして立海のトップになるってのが、俺の目標だ。……果たすために必要なら、俺にはやるしか道はねぇ」
「それを聞いて安心や。ほな、今後悪魔化したらこの毒手使うてめっちゃ痛い目薬さしたるから、覚悟しときーや!」
< 2024/04 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  >
<< 


忍者ブログ  [PR]