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04.30  
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 借りる本を決めてカウンターに向かう途中、滝は目の端で見知った人の姿を捉えた。二歩後戻りして、通り過ぎた本棚をもう一度覗く。見間違えではなかった。


「日吉」


 図書室では静寂を保たなければならない。だから本棚の外から声をかけることはしないで、近寄って小声で名前を呼んだ。滝の姿を見て、彼はすぐさま立ち読みしていた本を閉じて会釈した。『下剋上』という言い回しと、向上心ゆえの生意気さの目立つ後輩だったが、彼は基本的に真面目で礼儀正しい人間だ。どうも、と挨拶する声も、部活で聞くものよりも控えめのトーン。それはこの場のTPOをわきまえてのことだと思ったのだけれど。


「疲れた顔してる。寝不足?」


 会釈の後にあげた顔には、はっきり疲労が表れていた。顔が普段よりも青白く、目の下には隈がある。日吉はテニス部の中でも特別体力があるわけではないが、合宿でもこんな顔をしたところを見た覚えはない。


「……いえ、大丈夫です」


 滝が寝不足と言ったせいだろうか、目の下をごしごしと乱暴にこすって話を切り上げようとした。そんなことをしても隈はなかったことにはならないし、ごまかされてやる気もなかった。何より滝は知っている。日吉の「大丈夫」という言葉は、滝に心配をかけさせないため、というような殊勝な類のものではないことを。自分の弱っているところを見せたくないだとか、負けたくないだとか。意地っ張りで負けず嫌いな性格から出てきた言葉だ。大方、この程度で疲れていたら跡部に下剋上なんかできない、なんて考えているのだろう。全く、素直じゃない。


「仕方ないなぁ」


 その口は、きっと滝がどんな言葉をかけても強がりしか吐かないに違いない。だから滝は、文庫本を持ったまま日吉の背に素早く両手を回して、有無を言わさず抱きしめた。


「ちょっと!」


 突然の滝の行動に憤った日吉が即座に振り払おうとしたが、「静かに」と声をかけると渋々落ち着いた。下手に振り払おうものなら本棚にぶつかって騒がしくなるかもしれない。彼を見つけたのがこの場所でよかった、とのんきに思う。純粋な腕力だけでは正レギュラーとなった彼を腕の中に閉じ込めておけたか、分からない。


「30秒だけ」


「は?」


「30秒ハグするとストレス3分の1になるんだってさ。お前が言うには寝不足も疲労も『大丈夫』だそうだけど? ストレスない奴なんていないだろ」


 耳元で囁くように、しかしはっきりと命令すると、日吉は深い溜息を吐いた。結局体育会精神の根付いた彼は、先輩からの命令には逆らえないようにできている。こうやって命令してくる滝自体がストレスだ、くらい言い返せる普段の元気が彼にあるようなら、滝は日吉を解放してやるつもりでいた。しかし彼は観念した様子で額を滝の肩に預けた。


「30秒だけ、ですよ。あんた測るの得意でしょ」


「うん。任せといて」


 そうしてやっと素直に甘えた日吉を、滝は10秒長く抱きしめた。30秒と40秒ではかなりの差がある。滝ほどには正確に時間を測れない日吉でも、心の中で数えていれば「長い」と気づく程度の誤差。それでも日吉は結局、滝の手を振り払わなかった。それは恐らく彼が上下関係に真面目だからでも、疲れきっていたからでもなく。


(俺も甘えちゃった)


 ストレスのない奴なんていない。日吉にだって――滝にだって、それはあって然るもの。30秒で3分の1なら、数学的には10秒で9分の1のストレス解消。けれど日吉に許されたその10秒は、滝のストレスをいっそ全て吹き飛ばしてしまいそうだった。


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小ネタのわりに結構長いことあっためてたひよたき


ふぉろわさんに背中押してもらって深夜テンションでなぐりがき
3rdひよたきみたかった・・・・・・!!!!!!!
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かっとなってみた。
ある意味くらひか。ある意味(…)

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私にスイート写真

「よし財前、プリクラ撮りに行こ。な」
「全く脈絡あらへんし意味が分からへんのですけど」
「そんで女子みたいなピンクピンクしたフレームとデコのやつ携帯に送って待ち受けにする」
「ほんま何したいんすか頭でも打ちましたか、とりあえず俺の発言聞いてました?」
「卒業シーズンやからかな、マジな告白はさておき最近街中で逆ナンしてくる女子多くてな……」
「はあ、そりゃまた贅沢な悩みで」
「贅沢なんてもんやないであんなもん。好みの子ならまだしもケバい肉食系ばっかやで、断るんも一苦労なんや」
「そんでそれとプリクラがどう繋がるんすか」
「決まってるやん、撃退用。すまんなー俺ホモやから、の一言と待ち受け一つでドン引きさせられる感じのが欲しい。せやからゲーセン付き合うて」
「……死んでください」


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これはひどい。

次の新刊タイトル決めったー さまより↓
asktrkの次の新刊は『私にスイート写真』です。

てなわけで、無駄にテンション高いなぐりがきお粗末さまでした!
気が向いたらまたやるかも。

珍しく光蔵気味ですよ
光のほうが男前
毎度のことながら添削してません
よく分からない 話かも?
 

日吉誕! ですよ!
滝+日です。ぶっちゃけ滝話になってごめんなさい^q^
明日もテストあるけど息抜きに……





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「日吉、ちょっとこっちに」
「……なんですかそのやけに嬉しそうな顔」
「今日誕生日なんだろ?」
「はい」
「おめでとう」
「ありがとうございます」
「で、ちょっと俺があげられるものとか考えてみたんだけど」
「……いや、お構いなくというか、普通に祝ってもらえただけで十二分ですけど」
「この氷帝で普通に祝うだけっていうのが通ると思うなよ」
「氷帝で、じゃなくて跡部さんが居る環境で、だと思いますけどね」
「あはは、日吉もやるねー。……まあだから盛大にお祝いするほうは跡部に任せるとして、俺からはちょっと趣向の違うものをあげるよ」
「……これって、」
「あげるよ」
「……だってこれ、ないと困るんじゃないですか」
「んー……正直もうこいつがなくても困らないのは、困らないんだよねえ」
「それは、引退したから、てことですか」
「それもあるけど。日吉は知らないだろ? こいつと俺の付き合いが何年とかって」
「生まれたときから、とか?」
「ハズレ。正解は二年半」
「……そんなに短かったんですか」
「意外?」
「まあ」
「これは跡部にもらったものでね」
「跡部さん?」
「一年のときに時計見ないでラップ取ってたら跡部に見つかっちゃってね。それで俺は見なくても分かるんだよって言ったら、次の日には持たされた」
「そんな大事なもの、受け取れません」
「話は最後まで聞いて」
「……はい」
「『能力があるなら、能力が正しく伝わるよう表現しろ』って言われて。コンマ以下まで秒数が分かるなんて、物証なく言っても信憑性ないもんね」
「はぁ」
「そういう由来のものだけど、もうこいつがなくても俺の測定が正しいってことは皆疑わないからね。だからなくても大丈夫」
「……でも何でそれを俺に渡す気に?」
「……これはね、御守りだよ」
「御守り……」
「どうしたって何もかもを上手くやるっていうのは困難だ。自分に能力があっても、それを上手く表に出せないこともある。そういう時にでも、ちょっと動かしてみればいいよ。それでゆっくり10秒計ってごらん。俺はそれが、気持ちを静めるおまじないだった」
「……ありがとうございます」
「あ、そうそう。あともう一つ」
「?」
「10秒ぴったりで止めるコツはね、頭の中で何か1秒ピッタリの基準を見つけて、それを10倍することだよ。因みに俺は氷帝コールを10回唱えてた」
「……覚えておきます」
「うん。それじゃあ、日吉の14歳がいいものになるのを祈ってるよ!」


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本人はストップウォッチいらなくて周囲のためにもってるっていう滝が萌えという話です
日吉にあげる気になったのは、もちろん彼が次期部長だからですよ
なにはともあれ日吉14歳おめでとう!! 好きだ!

フラゲしなかったのは、今日が地元の本屋のポイント2倍デーだったからさ…


え、と。
SQのネタバレ・ペアプリ2巻(手塚白石)のネタバレ・好き勝手考察などを含む雑多感想です。
セカンドシーズン決定のあれの話も少し。
おkな人は続きからどうぞー
 

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