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05.21  
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珍しく光蔵気味ですよ
光のほうが男前
毎度のことながら添削してません
よく分からない 話かも?
 


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「吐きたい。吐きそう」
 そう言って携帯いじってる財前に背後から抱きついたら呆れたように笑われた。平常時はこれでもかというぐらいそっけなくてあっさりした後輩だから、無視されなかっただけでもよしとしようか。
「吐けばええんとちゃいます」
 何でもあらいざらい。そう返答した財前の視線と興味は未だ携帯の向こう。こっち向いて、ほしいような、ほしくないような。こっち向いたらたぶんなっさけない顔してるの見られる。でもそれも見てほしい。ああだめだこういうどっちつかずの感情も気持ち悪い。吐き捨ててしまいたい。切り捨ててしまいたい。
「なんか胃もたれおこしとるっちゅーかそんな気分やわあ」
 抱きつきついでに携帯の画面覗こうとしたら保護シートが反射してちょっといらっとした。それをそのまま伝えるのは気が引けたから、少し体重をかけることにその不満を仮託した。こんなんで気づいてくれるはずもないけど。
「健康マニアがなんで胃もたれ」
 案の定重いともなんとも言ってくれない。無言で自分が受け止められてしまうことに、違和感。
「さあ?」
「……吐いてまえばええんですよ、そんなん全部」
 大袈裟に一つ溜息をついて、ようやく携帯閉じてこっちに体向けてくれた。うわあ心底呆れてそうな顔してる。当然か。でもそんな表情を構うそぶり一つ見せないで体を預けてしまった。ちょっとして抱き返される。顔をうずめた肩口は思いの外温かい。ぽんぽんって、肩よりは少し低い温度の手で後ろ撫でられる。
「なあ、今ここで吐いたら怒る?」
 顔を上げずに小さく呟く。
「物理的に吐くんなら今から引き摺ってくんでトイレでどうぞ。違うものならお構いなく」
 至極冷静に返されてなんか笑えた。焦りもしないのは話し方に真剣味を持たせられなかったこっちのせいか。
「手、気持ちいいねん」
「手?」
「うん。なんか吐いてるときに後ろさすられるような感じでな」
 安心するなんておかしいかもしれないけれど。背中を撫でる手が少しずつ吐き気もなだめてくれているような感覚がしている。
「……いいこと教えたりますよ」
「うん?」
 抱きついたままだった俺を引き剥がして、それまで背中に回されていた手が後頭部に回された。それだけで意図が分かる。予想に反することなく光は唇を押し付けてきた。少しして光が退く。ちょっと笑ってるけどその顔は、呆れとかよりもしゃあないなっていう許容の顔。
「結局部長はどんだけ吐きたいとか吐きそうとか言っても、未遂で終わり」
「……」
「大体あんた、ほんまの弱音なんか吐け言うても吐かないでしょ。……せやから」
 もう一度抱き直される。さっきまで撫でていたところをもう一度なぞるように、撫でる。背筋がぞくりとしたのが彼に伝わったかどうかは、分からない。
「せめて消化も困難なもんを咀嚼一つしないで丸呑みすんのやめたらどうですか」
 具体的なことは何一つ言っていないのに、それは核心を突いていたから返せる言葉がなかった。婉曲をあまり好まない光らしくない物言いはちょっと珍しかったけど、それは間違いなく今の俺を一番救ってくれる言葉だった。
 
「……でも丸呑みは、しゃあないな。直せんわ。三つ子の魂百までで、もうこれは性分。これも性分」
「……知っとりますよ」
 だから抱きしめる意味がある、と小声で付け足してくれた。
 うんだから抱きついたんだよ、抱きしめてくれて、ありがとう。


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こういう白石は書いても書きあがらないことが多い
なんでかは、ちょっと説明控えますけど
今はすごく白石に謝りたい気分でいっぱいです。
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