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05.21  
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TOA アニス

ダアトに送るまでの間、私は成り行き上ずっと"彼"の手を握っていた。
最初はただ冷たいその手がだんだん温もっていくのを感じるのは、少し辛かった。
その理由は簡単。私は、彼と同じようにして手を引いたイオン様を間接的にとはいえ殺した。それを思い出させるからだ。
ザレッホ火山の中で引いたイオン様の手も、やっぱり冷たかった。
けれどモースのところへ向かう間ずっと握り続ると、それは徐々に温まっていった。
でも、私はそこで中途半端に温もらせた手を離し、モースにイオン様を渡してしまったのだ。
私がどれだけのことをしたのかと、責められているようにさえ思える。
もう一度同じように――イオン様と同じ形の、同じ温度の手のひらを握らせることで、思い出させているのだと。
 
本当は、私は彼と手を握りたくなかった。
温もらせた彼の手を、もう一度離さなくてはいけないと分かっていたから。
ザレッホ火山の中でイオン様にやったように、もう一度繋いだ手を離して彼をダアトに置いてきた。


その彼と繋いだ手は、誰よりも一番冷たいもののように思えて、仕方がなかった。

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FEのほうでやってるお題の、没ver。
FEで統一することにしたんでお蔵入りしていたものの一つ
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