「あぁ、君が白石？」
「？　せやけど何か用か、佐伯」
「あれ、俺君と話すの初めてだったよね？　意外だなあ、名前覚えられてたんだ」
「自分、抽選会来とったやろ、全国の」
「副部長だったからね」
「あん時に、来年部長になりそうな奴～と思て他校の２年生はチェックしとったんや。自分のことは、そん時に」
「あはは、じゃあ今年俺が部長になってなくてがっかりした？」
「まあな。でも、まわりからすれば俺やって周囲の予想を裏切って就任した二年生部長やったし。人のことなんて言えんわ」
「じゃあ、淋しかったの？」
「ん？　淋しかった？」
「二年生の部長なんて殆どいなかっただろ？　氷帝の跡部くらいで。だから自分と同じ境遇の人、そうでなくても来年は同じ立場に立つ人を探してたのかなって」
「……とりあえず、淋しかった？って聞かれたんは初めてやわ」
「不快に感じたなら謝るよ」
「いやいや。ちょっとびっくりしただけ。そんなん考えもせんかったし」
「そう？　同じ立場の人間が少ないと心細いんじゃないかって、わりと単純に」
「せやな。……そういうふうに言葉にしたことはあらへんけど、感情自体はあったんかもしれへんわ。自覚できてなかったけど」
「……まあ、ウチの部長さんは一人で淋しいとか一年生なのに部長、みたいな気負いは欠片もないんだけどね」
「ああ、あの元気そうな子」
「そもそもウチの学校は役職なんてあってないようなものだし。戦隊物のレッド！　ブルー！とかそれぐらいの称号のイメージ」
「何、じゃあ自分の学校カレー好きとかも居るん？」
「うーん、カレーは知らないけどドリンク好きな奴がいるから、あいつがイエローでいいかな」
「自分とこ、おもろそうやな」
「仲の良さと部活の楽しさについては他の学校の追随を許さないよ。そうだ、もし機会があれば今度、練習試合でもしにおいでよ。うちの連中は皆君たちを歓迎するよ」
「ああ、楽しそうやなあ。ウチのチームもやかましいけどめっちゃおもろいで！　キャラ濃いから引かれんか心配やけど、話聞いてる限りじゃ平気そうやし。それに後輩らに他校と交流作らせたかったんや」
「丁度いいじゃん。剣太郎も中学テニス界で友達百人と女の子のファン五十人作る気でいるから」
「そりゃまたすごい部長やな……」
「自慢の部長だよ」
「せやな。剣太郎クンとも一度ちゃんと話してみたいし。いつか呼んでや」
「ああ、必ず！」




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背景とか時系列とか考えない！