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04.13  SBP
※大変残念なことに千歳が標準語です。脳内変換でお楽しみください




「きっと、次に無我に到達するのは白石」
「……俺?」
「今の中学テニス界で、次に無我の境地……そして、その先の扉にたどり着くのは白石、お前だと思う」
「……それで?」
「ん?」
「千歳は俺に何を期待しとるん。出来ることだから、俺も早く無我へたどり着けって言いにきたん?」
「……そうじゃない」
「へえ?」
「そうじゃないけど、無我を知ればきっと白石もテニス中学限りでやめよう、とか言わないと思って」
「……その話、誰に聞いたん?」
「なんのこと?」
「俺が中学限りでテニスやめるって……」
「別に誰に聞いたわけでもなし、言ってみただけ。……図星?」
「……墓穴掘ったな、聞くんやなかった」
「本当にやめる気だった?」
「高校はテニスが強くないところでも良いとは思ってた」
「……そっか。じゃあ、なおさら無我を知ってから中学卒業した方がいいと思う。きっと、テニスから離れられなくなる」
「それ、仮にも一度退部しかけた奴が言っても何の効力もないわ」
「俺はテニスからは離れようとはしてないけど」
「屁理屈こねんなや。俺らの大半が言うテニスは部活や」
「まあ……結局戻ってきたし。それにあの後戻ってきて、手塚と試合して……それで、もうちょっとここでテニスやってもいいかと思った」
「……ああ、そういうこと」
「ん?」
「俺をテニスに引き止めるのもそうやけど、同時に自分もここにひきとめるために、俺にあないなこと言うたんやな」
「え?」
「俺が無我に辿り着いて、お前の相手が一人増えれば、お前がテニスを遠ざかるのが一歩遠ざかると」
「……そう解釈されるとは思ってなかった」
「せやな。俺もこんな仮定に至るとは露ほども」
「まあ、白石がテニスを続けてくれるのはありがたいけどな。強い相手は少しでも多く残ってくれるほうがいい」
「よう言うわ。……俺とは一度も試合しようとはせえへんかったくせに」
「それは……」
「オサムちゃんの命令もあったことは分かっとるしエエよ別に。ちょっと噛み付いただけや、すまん」
「ああ、いいけど」
「しかし無我の境地、なあ。正直どうでもエエんやけど。無駄な動きも増えるし。そないなもんに頼ろうとはしてきいひんかったし、これからもそのつもりでおったから、今更その可能性を提示されても持て余すわ」
「だからこそ、白石は無我を見つけるべき」
「ん?」
「さっきは言わんかったけど、白石なら百錬自得の極みに辿り着けると思う」
「……手塚が会得しとるあれか」
「俺が白石に辿り着いてほしいのは、無我の先のそこ。そしてお前なら恐らく成し得る」
「無駄なく力を一点に集中させ、倍返しする、か」
「ある意味、白石の聖書の究極系にあたると思う。……手塚は白石のことを自分の目指すテニスの一つの完成形と言ったけど」
「その実、完成形はあっち、か……」
「だから、白石は百錬をすぐにとは言わないけど、無我を知るべき。完璧なテニスの上に、さらに完璧を重ねられる可能性を」
「そして知ったときにはテニスを手放せないっちゅー訳か」
「……」
「……せやな、じゃあもう少しだけ頑張るか」
「おお」
「11月の合宿、やっぱり行くかな。ほんまは受験のこともあるから行かないで財前の指導、とも思っとったんやけど。最後、テニスを続けるかどうか見極めに」
「……白石、掴めよ」
「……確約はせんで。それに万一無我を会得できたとしても、使う使わないは俺が決めること、やからな」
「ありがとう、それで十分」
「ん、ああそれと千歳」
「ん?」
「無用とは思うけど一応な、他には話すな」
「無我のこと?」
「俺がテニスやめる気でいたこと」
「ああ、そっち。はいはい、了解」
「……ほんまに頼むで」


明日SBP特設のほうにうpしなおすよ 今日は寝ます←←
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